彦十蒔絵の作品は棟梁である若宮の創作によるものである。彼は作品の青写真を描き、完成までの道筋をつける。しかし、実際に造る作業をするのは彼ではない。それをするのは、四十人を数える漆のスペシャリストたちだ。彦十蒔絵のメンバーは十人。その他にも、木地の製作者を中心にさまざまな技術を持つ専門家たちが控えている。それぞれの工程が、ひとりひとりの技術者がそれに費やしてきた時間と努力によって支えられる。いわば彼らの「神の手」が若宮のおもいをカタチにするのである。
漆はウルシの木からにじみでる樹液の事です
ウルシの木から良質な漆が出るまでには約15年間かかります
6月から11月までに約20回ほど樹皮に傷をつけて
にじみ出る樹液を搔き取ります
1本の木から約200gの漆が採れます
漆搔きは掻き手の技術力によって漆の良し悪しが決まります
漆を搔いた木はその年に切倒されます 殺し搔きという方法です